太宗(テジョン)/朝鮮王朝おどろき国王列伝10

太宗が後継者に指名したのは?

太宗は、強大な権限を持った王だった。彼は、兄弟たちとの骨肉の争いを乗り越えて王の座に就いただけに、そのまま王位に執着するかと思われたが、太宗は逆に「余力があるうちに王位を譲りたい」と考えていた。それは、臣下たちの反対によってなかなか実現しなかったが、1418年に三男の忠寧(チュンニョン)に王の座を譲った。それには次のような理由があった。


朝鮮王朝には「長男が後継者になる」という原則があるため、もともと長男の譲寧(ヤンニョン)が後継者に選ばれていたが、乱れた生活をしたことを理由に、継承権を剥奪されている。
二男の孝寧(ヒョニョン)は、兄が後継者の立場を追われたことに驚いていたが、「次は自分が王になる」と思った。そのために勉学に励んでいたが、次第に兄の行動の意図(頭脳明晰な三男に王位を譲るためにわざと生活を乱したこと)に気づいた孝寧は、仏門に入ってしまった。それにより、三男の忠寧が後継者に選ばれて、4代王・世宗(セジョン)となった。その後、太宗は後継人として朝鮮王朝の行く末を見守って、1422年に世を去った。彼は、たぐいまれなる統率力で朝鮮王朝の基盤を作り、朝鮮王朝を518年も持続させるきっかけを作った王だ。

文=康 大地(コウ ダイチ)

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