『イニョプの道』で描かれた太宗と父の対立とは?

二度も起きた「王子の乱」

芳遠と鄭道伝の対立は臣下たちを巻き込み深刻化していき、宮中は常に緊張した空気が漂うようになった。
1398年、鄭道伝は芳遠たち兄弟を排除しようと計画を練るが、それは芳遠に気付かれていた。芳遠は先手を打つように私兵を率いて鄭道伝たちの屋敷に襲い掛かり、鄭道伝と異母弟たちの命を奪ってしまう。
この事件は、王子たちが後継ぎの座を巡って争った「王子の乱」と呼ばれた。




一番衝撃を受けたのが、八男を可愛がっていた太祖であり、彼は失意のまま王位を退いた。朝鮮王朝設立からわずか6年のことだった。
政敵たちを排除した芳遠だが、彼は自ら王位に就かずに太祖の二男の芳果(パングァ)を次の王に推薦した。
自ら即位して強奪者として非難されるのを避けるためだ。
こうして、二男の芳果は2代王・定宗(チョンジョン)として即位するが、実質的に権力を握っていたのは弟の芳遠だった。
1400年、太祖の四男の芳幹(バンガン)が「自分も王になりたい」という欲に駆られ私兵を強化していた。それに気づいた芳遠は、芳幹との戦いを決意する。こうして、2人の王子による「第二次王子の乱」が勃発した。戦いは当時最大の武闘派である芳遠の圧勝に終わった。(ページ3に続く)

『イニョプの道』の時代背景を解説!

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