英祖(ヨンジョ)と思悼世子(サドセジャ)〔第2回/告発された世子〕

反乱の首謀者?

英祖は、重臣たちに対して詳細に調査せよと命じた。
そのとき、領議政(ヨンイジョン/総理大臣)の洪鳳漢(ホン・ボンハン)がこう言った。
「東宮におかれましては、普段から怖がってオドオドする癖がありますので、こんな告発を聞いたら、とうてい平常心を保てないでしょう。できるだけ静かに行ないたいと思います」
英祖もこの意見に同調した。
洪鳳漢はすみやかに思悼世子のもとに出向いた。




彼は思悼世子の岳父である。自分の娘が思悼世子の正妻なのだ。それだけに、洪鳳漢が思悼世子の肩を持つのが当然と思えるのだが、事実はちょっと違っている。老論派に属する彼にはさまざまな思惑があったのである……。
それはともかく、洪鳳漢から“反乱の首謀者として告発されている”ことを聞いた思悼世子は驚愕し、あわてて英祖のもとにやってきた。それが亥(い)の刻(午後9時頃から11時頃の間)だった。
思悼世子が英祖に謁見する前に、洪鳳漢が英祖にこう上奏した。
「東宮を罪人のようにみなしては決していけません。なにとぞ穏やかに……」
英祖はゆっくりとうなずいた。(ページ3に続く)

英祖(ヨンジョ)と思悼世子(サドセジャ)〔第3回/自決の強要〕

仁祖〔インジョ〕/朝鮮王朝おどろき国王列伝3

光海君〔クァンヘグン〕・前編/朝鮮王朝おどろき国王列伝1

仁祖(インジョ)はなぜ昭顕(ソヒョン)世子の一家を滅ぼしたのか

固定ページ:
1

2

3 4

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る